「DXを推進するために社員研修を始めたい」
「DX研修の教材を作りたいけれど、社内で制作するべきか外注するべきかわからない」
「研修を外注したものの、受講して終わりになってしまっている」
DX推進や人材育成を担当する企業では、このような悩みが増えています。
DX研修というと、AIやデータ分析、ITツールなどの知識を社員に教えることをイメージしがちです。しかし、DX人材を育成するうえで重要なのは、単に知識を伝えることではありません。
研修で学んだことを、記憶に定着させ、必要性を理解し、実際の業務で使える状態にすることです。
そのためには、研修の内容だけでなく、教材、演習、学習体験、評価まで一貫して設計する必要があります。
本記事では、DX研修を検討している企業の担当者に向けて、DX研修の教材を内製する場合と外注する場合の違い、外注先の選び方、失敗しないためのポイントを学習体験デザインの観点から解説します。
DX研修で重要なのは「何を教えるか」だけではない
DX人材育成では、AI、データ活用、デジタルツール、業務改善など、さまざまなテーマが扱われます。
しかし、同じ「DX研修」でも、対象者や目的によって必要な内容は大きく異なります。
例えば、全社員を対象とする場合には、DXの基本概念やデジタルリテラシー、生成AIの基礎などが中心になるでしょう。
一方、DX推進担当者を育成するのであれば、業務課題の発見、データ分析、プロジェクト推進、業務改善など、より実践的な内容が必要になります。
さらに重要なのが、
「研修終了後に、受講者が何をできるようになるのか」
を明確にすることです。
「DXについて理解する」だけでは、研修の成果を測定しにくくなります。
例えば、
- 自分の担当業務からDX化できる業務を3つ発見できる
- 生成AIを使って定型業務を効率化できる
- データをもとに業務改善の提案ができる
- DXプロジェクトの課題を整理できる
- 新しいデジタルツールを業務に導入できる
など、研修後の行動まで具体化すると、必要な教材や演習も設計しやすくなります。
DX研修では、「何を教えるか」から考えるのではなく、「研修後に何ができるようになってほしいか」から逆算することが重要です。
DX研修の教材は「資料を作ること」ではない
研修教材を作るとき、PowerPointやPDF、動画などの「形式」から考えてしまうことがあります。
しかし、本来の教材制作は単に情報を整理して見やすくする作業ではありません。
学習者が、
知る → 理解する → 考える → 試す → 振り返る → 実務で使う
というプロセスを経験できるように設計することが重要です。
例えば「生成AIの使い方」を説明する研修であれば、生成AIの機能を説明するだけでは十分ではありません。
実際の業務を想定して、
- どの業務に生成AIを使えるか考える
- 適切なプロンプトを作る
- AIの出力結果を確認する
- 誤情報やリスクを判断する
- 実際の業務で使ってみる
- 結果を振り返る
という学習体験を組み込むことで、知識が実践につながりやすくなります。
つまり、DX研修の教材は「情報を伝えるための資料」ではなく、「行動を変えるための学習環境」として考えることが大切です。
DX研修の教材を内製するメリットとデメリット
教材を社内で制作する「内製」には、多くのメリットがあります。
内製のメリット
最大のメリットは、自社の業務や文化を教材に反映しやすいことです。
社内の担当者が制作すれば、
- 自社独自の業務フロー
- 社内システム
- 実際の業務事例
- 過去の失敗事例
- 社内ルール
- 自社特有の課題
などを教材に盛り込むことができます。
また、研修内容を変更したい場合に、自社ですぐに修正できることもメリットです。
特にDX領域は、新しいツールやAIサービス、社内システムなどによって内容が変化しやすいため、教材を継続的に更新できる体制は重要です。
内製のデメリット
一方で、教材制作には想像以上に時間がかかります。
例えば、
- 研修目的の整理
- 学習目標の設定
- カリキュラム設計
- 原稿作成
- スライド制作
- 動画制作
- 演習問題の作成
- 確認テストの作成
- LMSへの登録
- 受講状況の確認
- 効果測定
- 教材の更新
など、多くの工程があります。
人事や研修担当者が通常業務と並行してすべてを担当すると、大きな負担になる可能性があります。
さらに、「業務については詳しいけれど、教材設計については専門知識がない」というケースも少なくありません。
その結果、情報量が多すぎる教材や、文字を並べただけの研修資料になってしまうことがあります。
DX研修の教材を外注するメリットとデメリット
そこで選択肢になるのが、教材制作や研修設計の外注です。
DX研修を外部の専門会社に依頼する場合、研修の企画から教材制作、動画、eラーニング、効果測定まで対応してもらえるケースがあります。
外注のメリット
専門会社に外注する最大のメリットは、社内だけでは不足しやすい「教材を設計する専門性」を補えることです。
特に、
- 学習目標の設計
- インストラクショナルデザイン
- eラーニング設計
- 動画・アニメーション制作
- インタラクティブ教材
- クイズ・演習設計
- LMS対応
- 学習効果の測定
などは、専門的な知識や制作スキルが求められます。
また、社内担当者は「何を教えるべきか」という業務知識の提供に集中し、教材の構成や表現、学習体験の設計を専門会社に任せるという役割分担もできます。
外注のデメリット
一方、外注にも注意点があります。
特に重要なのが、「何をどこまで外注するのか」を明確にすることです。
単純に「PowerPointを教材にしてください」と依頼すると、見た目はきれいになっても、学習効果が大きく向上するとは限りません。
また、外注先によっては、
- 企画費
- シナリオ作成費
- デザイン費
- 動画制作費
- ナレーション費
- LMS対応費
- 修正費
- 保守・更新費
などが別々に設定されている場合があります。
そのため、見積金額だけで比較するのではなく、どこまでが料金に含まれているのかを確認することが重要です。
DX研修の外注先を選ぶ5つのポイント
では、DX研修や教材制作を外注するとき、何を基準に会社を選べばよいのでしょうか。
1.DXの知識だけでなく「学習設計」ができるか
「DXに詳しい会社」と「DXを学べる教材を設計できる会社」は同じではありません。
重要なのは、DXの知識を持っているだけでなく、
- 誰に
- 何を
- どのような順番で
- どのような方法で学んでもらい
- 何ができるようになったかを
- どのように評価するか
まで設計できることです。
研修会社を選ぶ際には、講師の経歴だけでなく、カリキュラムや演習、成果物まで確認するとよいでしょう。
2.自社の業務に合わせてカスタマイズできるか
汎用的なDX研修は、多くの社員に共通する基礎知識を学ぶ場合には便利です。
しかし、実務でDXを活用することが目的なら、自社の業務に合わせた設計が重要になります。
例えば営業職なら営業活動、管理職なら意思決定、製造現場なら生産工程など、受講者が実際に直面する業務を教材に取り入れることで、学習内容と実務との距離を縮められます。
3.教材だけでなく「演習」まで設計できるか
DX研修では、知識のインプットだけで終わらせないことが重要です。
例えば、
「AIとは何か」
を説明するだけではなく、
「あなたの業務の中でAIを使える場所はどこか?」
と考えてもらう。
さらに、
「実際にAIを使って業務を改善してみる」
ところまで設計する。
このように、学習者が自分で考え、操作し、判断する機会を設けることで、研修を実務につなげやすくなります。
4.研修後の評価まで考えているか
研修の評価というと、アンケートで「満足しましたか?」と聞くことをイメージする企業もあります。
もちろん満足度は重要ですが、それだけでは研修の成果を判断できません。
例えば、
- 知識が身についたか
- スキルを使えるようになったか
- 実際の行動が変わったか
- 業務改善につながったか
といった複数の視点から評価することが重要です。
研修を「実施して終わり」にせず、評価と改善まで設計できる外注先を選びましょう。
5.完成後に自社で更新できるか
DX研修では、教材の「完成」よりも、その後の運用が重要です。
AIやデジタルツールは変化が速く、社内制度や業務フローも変わります。
そのため、
一度作った教材を何年もそのまま使うのではなく、継続的に改善できる仕組み
を用意することが大切です。
編集可能なデータを納品してもらえるか、修正を自社で行えるか、外注先に更新を依頼する場合の費用はいくらかなども、契約前に確認しておきましょう。
DX研修の教材は「内製+外注」のハイブリッドも有効
教材制作は、すべてを内製するか、すべてを外注するかの二択ではありません。
むしろ、社内と外部で役割を分ける方法が効果的な場合があります。
例えば、
| 工程 | 社内 | 外部 |
|---|---|---|
| DX課題の整理 | ◎ | ○ |
| 業務知識の提供 | ◎ | ○ |
| 学習目標の設計 | ○ | ◎ |
| カリキュラム設計 | ○ | ◎ |
| 教材設計 | ○ | ◎ |
| 原稿作成 | ○ | ◎ |
| デザイン・動画制作 | △ | ◎ |
| 演習設計 | ○ | ◎ |
| 業務内容の確認 | ◎ | ○ |
| LMS実装 | △ | ◎ |
| 効果測定 | ○ | ◎ |
| 教材の更新 | ◎ | ○ |
という分担が考えられます。
社内には「自社の業務を知っている」という大きな強みがあります。
一方、外部には「教育を設計する専門知識」や「教材をわかりやすく表現する制作スキル」があります。
両者を組み合わせることで、自社に合った内容と、学びやすい教材の両方を実現しやすくなります。
「DX研修を外注する」のではなく「DX人材が育つ仕組み」を外注する
DX研修の外注を検討するとき、研修会社に「研修を実施してもらう」ことだけをゴールにすると、研修後に社内へ知識が残らない可能性があります。
本当に必要なのは、研修そのものではなく、
社員が自分で考え、デジタル技術を活用し、業務を改善できるようになる仕組み
です。
そのためには、研修、教材、eラーニング、演習、評価、フォローアップを一つの学習体験として設計する必要があります。
特にDX人材育成では、「一度研修を受けたから終わり」ではなく、学習と実践を繰り返す仕組みが重要です。
公的なDX人材育成の取り組みにおいても、DX研修はAI・IoT・データ活用だけでなく、業務改革や生産性向上、デジタルツール活用など幅広いテーマが対象になっています。また、研修に必要な教材や外注費などを費用として扱う事例もあります。
Ceriseworksが考える「DX研修×教材」の設計
Ceriseworksでは、単に研修資料をきれいにデザインしたり、既存の研修を動画化したりするだけではなく、学習者が「理解して、行動する」までの学習体験そのものを設計することを重視しています。
そのベースとなるのが、LXD(Learning Experience Design)です。
インストラクショナルデザイン(ID)によって学習目標や教材を設計し、ラーニングデザインによって研修全体の流れを考え、さらにUXや認知科学、インタラクティブなコンテンツを組み合わせます。
例えば、
- 既存のPowerPoint資料をインタラクティブ教材に変える
- 研修動画をマイクロラーニング化する
- クイズやシミュレーションを組み込む
- 営業や接客などのロールプレイ教材を作る
- 社内ノウハウをeラーニング化する
- DXやAIに関する研修カリキュラムを設計する
- 既存教材の学習効果を分析して改善する
といった支援が可能です。
Ceriseworksでは、教材を「納品して終わり」にするのではなく、企業自身が継続的に教材を更新・運用できることも重視しています。
そのため、ノーコードツールやオープンなプラットフォームを活用し、必要に応じて企業側で修正できる仕組みも提供しています。
DX研修・教材制作を外注するなら、最初に「ゴール」を決める
DX研修の教材制作を検討しているなら、まず制作会社を探す前に、次の5つを整理してみてください。
1.誰に学んでもらうのか
全社員なのか、管理職なのか、DX推進担当者なのか。
2.何を学んでもらうのか
DXリテラシー、生成AI、データ活用、業務改善など、テーマを明確にします。
3.研修後に何ができるようになってほしいのか
「理解する」ではなく「○○できる」という行動レベルで考えます。
4.どのような学習方法が適しているのか
集合研修、オンライン研修、eラーニング、動画、インタラクティブ教材などから検討します。
5.どうやって成果を測定するのか
テスト、課題、実務での行動、業務改善など、目的に合った評価方法を設定します。
この5つが決まれば、必要な教材や外注範囲も見えやすくなります。
DX研修の教材外注でよくある質問
Q. DX研修の教材は外注したほうがよいですか?
必ずしも外注が必要というわけではありません。
社内に教材制作の時間とスキルがあり、シンプルな教材を継続的に作るのであれば、内製が適している場合もあります。
一方で、短期間で質の高い教材を作りたい場合や、eラーニング、動画、インタラクティブ教材など専門的な制作が必要な場合は、外注が有効です。
Q. PowerPointの既存研修資料も教材にできますか?
はい。
既存のPowerPointやPDF、研修動画、マニュアルなどは教材制作の重要な素材になります。
ただし、資料をそのままオンライン化するのではなく、学習目標や受講者に合わせて情報量や順番、演習、確認問題などを再設計することが重要です。
Q. eラーニング教材の制作も外注できますか?
可能です。
動画、スライド、クイズ、インタラクティブコンテンツなどを組み合わせたeラーニング教材を制作できます。
LMSを利用している場合には、利用環境や必要な形式を事前に確認しておくとスムーズです。
Q. 教材を作った後、自社で修正できますか?
制作会社によって対応が異なります。
DXやAI関連の教材は更新頻度が高くなりやすいため、納品後に自社で修正できるかどうかは重要な確認ポイントです。
Q. 研修会社と教材制作会社は別々に依頼したほうがよいですか?
必ずしも分ける必要はありません。
研修設計、教材制作、eラーニング、効果測定まで一貫して設計できる会社に依頼すると、研修と教材の内容に一貫性を持たせやすくなります。
一方、社内に研修ノウハウがある場合は、教材制作だけを外注する方法もあります。
まとめ:DX研修は「教材の質」だけでなく「学習体験」を設計する
DX人材育成を成功させるためには、単にDXの知識を教えるだけでは十分ではありません。
重要なのは、
知る → 理解する → 考える → 試す → 実践する
という学習体験を設計することです。
DX研修の教材制作には、内製と外注のそれぞれにメリットがあります。
社内の業務知識を活かしながら、学習設計や教材制作など専門性が必要な部分を外部に任せる「ハイブリッド型」も有効です。
そして、外注先を選ぶときには、価格やデザインだけではなく、
- 学習目標を設計できるか
- 自社の業務に合わせてカスタマイズできるか
- 演習まで設計できるか
- 効果測定まで考えられるか
- 教材を継続的に更新できるか
を確認することが重要です。
Ceriseworksでは、教育工学・認知科学・UXの知見を組み合わせ、研修や教材を「見せるコンテンツ」から「理解し、行動するための学習体験」へと設計します。
「今ある研修教材を改善したい」
「DX研修をeラーニング化したい」
「社員が実務で使えるDX教材を作りたい」
「教材制作を外注したいが、どこまで依頼すればよいかわからない」
といった場合は、まず現在の教材や研修の課題を整理するところから始めてみてください。
DX研修は、研修を実施することがゴールではありません。
社員の学びが、実際の行動と業務改善につながること。
そこまでを設計することが、これからのDX人材育成に求められる研修・教材づくりです。ご不明な点のある方は、いつでもお気軽にお問い合わせください。




