Learning Experience Design(LXD)学習体験デザインの基本と海外向けコンテンツ・マーケティングへの活用

Learning Experience Design(LXD)とは?【学習体験デザインの基本と海外向けコンテンツ・マーケティングへの活用】

Learning Experience Design(ラーニング・エクスペリエンス・デザイン)という言葉をご存知でしょうか?

近年、企業研修やオンライン教育などの分野で、Learning Experience Design(LXD)という言葉が注目されています。しかし、LXDは単に「わかりやすい教材をつくること」や「オンライン講座をデザインすること」ではありません。

LXDは、学習者が何を学び、どのように理解し、実際の行動にどうつなげていくか?その一連の体験を、目的に合わせて設計する考え方です。

海外向けマーケティングやグローバルビジネスに取り組む企業にとって、学習体験デザインは非常に有用性の高い考え方です。なぜなら、複雑な製品・サービスの価値を伝えること、海外の顧客やパートナーに理解してもらうこと、社内の知識を国境を越えて共有することに応用できるからです。

この記事では、Learning Experience Designの意味や特徴、Instructional Design(インストラクショナル・デザイン)との違い、具体的な設計プロセス、そして海外向けコンテンツ制作との関係について解説します。

Learning Experience Design(LXD)とは?

Learning Experience Designとは、学習者が知識やスキルを身につけるまでの体験全体を設計することです。日本語では「ラーニング・エクスペリエンス・デザイン」、「学習体験デザイン」などと訳されます。

文字通り、英語のLearningは「学習」、Experienceは「体験」、Designは「設計」を意味します。教材や講義そのものだけではなく、学習者がどのような状況で学び、どのような感情的、認知的なプロセスを経て、学んだことを記憶し、身につけ、自らの行動に反映するのかまでを考慮します。

例えば、日本の包丁を海外市場向けに販売するためのコンテンツを制作するとしましょう。

従来のアプローチでは、包丁の素材や刃の形状、製造方法、切れ味などの特徴を紹介する動画や画像を用意し、消費者に商品の情報を届けることが中心だったかもしれません。

一方、Learning Experience Design(LXD)の考え方を取り入れる場合、消費者が商品の特徴を理解するだけでなく、「この包丁が自分の料理や生活にどのように役立つのかを理解し、実際に使ってみたいと思うまでの体験」を設計します。

例えば、次のような問いから考え始めます。

  • 海外の消費者は、日本の包丁についてどのような知識やイメージを持っているのか?
  • 包丁の素材や製造工程、刃の特徴を、専門知識がない人にもわかりやすく伝えるにはどうすればよいか?
  • 日本の包丁が、日常の料理や調理体験にどのような価値をもたらすのか?
  • 消費者が自分の料理スタイルや調理習慣と商品を結びつけられるか?
  • 包丁の持ち方や使い方、メンテナンス方法を、初めて使う人にも理解しやすく伝えられるか?
  • 商品の背景や特徴を理解したうえで、「自分もこの包丁を使ってみたい」と思えるような体験を設計できるか?

これをメディアに落とし込むなら、職人が刃を研いでいる写真や、食材を切る様子を映像で見せるだけでなく、刃の構造や製造工程が切れ味や使い心地、具体的な調理の過程にどのように影響するのかを、アニメーションや図解を使って説明したり、イベントで違いを体験してもらったりする方法が考えられます。

さらに、海外の消費者が普段使っている包丁との違いや、どのような料理や調理シーンで活用できるのかを具体的に紹介します。商品の機能を伝えるだけでなく、消費者が自分の生活の中で使う場面をイメージできるようにすることで、商品の価値を理解し、購入を検討するきっかけにつながる可能性があります。

このようにLXDでは、情報を一方的に伝えるのではなく、受け手が内容を理解し、自分にとっての価値を見いだし、次の行動を考えるまでの体験を設計します。

つまり、LXDは「情報を届ける」ことから一歩進んで、「学習者が理解し、行動できるようになるまで」を設計するアプローチです。

LXDは教材制作を指すのか?

私たちの人生における体験は、学習の連続です。よってLXDは恣意的な「教育」だけを対象としたものではありませんし、LXDは教材制作を意味する言葉ではありません。

LXDで言う「学習」は、新しい情報を受け取ること全てで、「学習者」は全ての情報の受け手を指します。

情報伝達の目的、情報の受け手の背景、コンテンツの構成、インタラクション、フィードバック、学習環境、学習後の行動など、さまざまな要素が関係します。

例えば、同じ10分間の動画でも、視聴するだけの動画と、途中で考える時間があり、具体的なケースを通して理解し、最後に実践課題に取り組む動画では、学習体験が異なります。

ただし、動画を長くしたり、インタラクションを増やしたりすれば必ず学習効果が高まるわけではありません。学習目標や対象者に応じて、必要な設計を選択することが重要です。

Learning Experience Designが注目される背景

近年、学習を目的としたデジタルコンテンツの活用が広がっています。動画、インタラクティブ教材、LMS、モバイル学習など、学習者が情報にアクセスする方法は多様化しています。

一方で、コンテンツをデジタル化しただけでは、必ずしも学習者が内容を理解したり、実際の行動につなげたりできるとは限りません。

例えば、次のような課題が考えられます。

  • 情報量が多く、重要なポイントがわからない
  • 専門用語が多く、初心者が理解しにくい
  • 動画を視聴しても、実務でどう使うかわからない
  • 研修内容が学習者の業務と結びついていない
  • 海外の学習者にとって、言語や文化の壁がある
  • 既存のコンテンツを翻訳しただけで、対象者に合っていない

こうした課題に対し、LXDは学習者の視点からコンテンツや学習環境を見直すための枠組みを提供します。

重要なのは、テクノロジーを導入すること自体が目的ではない点です。

LXDはDXから一歩進んで、テクノロジーを使って、どのような理解や行動を実現させるかと言うところにポイントがあります。

Learning Experience DesignとInstructional Designの違い

Learning Experience Design(LXD)やLearning Design(LD)とよく混同されるのが、Instructional Design(ID)という言葉です。

両者は重なる部分が多く、厳密に異なる領域として区切られるわけではありませんが、一般的に、Instructional Designは「教育・指導を効果的に設計すること」に重点を置きます。学習目標の設定、教育内容の構成、指導方法、評価などを体系的に検討するアプローチです。

一方、Learning Experience Designは、学習者の体験や状況、動機づけ、使いやすさ、学習環境などにも広く目を向ける傾向があります。

観点Instructional DesignLearning Experience Design
主な関心教育・指導の設計学習者の体験全体
重点学習目標・教授方法・評価理解・行動・環境・体験
対象講義、研修、教材など教材を含む学習体験全体
活用分野研修、教育プログラム研修、デジタル学習、製品教育など

学習目標を達成するための教育設計と、学習者が実際に学ぶ体験の設計は、互いに補完し合うものです。

LXDがコンテンツ・マーケティングの応用として力を発揮するのは、対象者には自分が学習者であるという意識がない点においてです。つまり、教育や指導のフォーマットを超えて、認知心理学や行動科学にあったデザインを提供できるからなのです。

Learning Experience Designの基本的な考え方

1. 学習者を中心に考える

LXDでは、まず学習者を理解することが重要です。

学習者の年齢や職種だけではなく、知識レベル、経験、利用環境、目的、困っていることなどを把握します。

例えば、同じ製品について説明する場合でも、対象者によって必要な情報は変わります。

  • 初めて製品を知る海外の顧客
  • 製品を販売する海外の営業担当者
  • 製品を導入する企業の担当者
  • 製品をサポートする現地スタッフ

それぞれに異なる知識や関心があります。全員に同じ内容を一度に伝えるのではなく、対象者ごとに必要な情報と学習体験を整理することが必要です。

2. 学習目標を明確にする

「製品について理解してもらう」といった目標だけでは、学習の成果を具体的に判断しにくい場合があります。

そこで、学習後に何ができるようになってほしいのかを明確にします。

例えば、次のように表現できます。

  • 製品の主要な特徴を説明できる
  • 顧客の課題に合わせて製品の利点を説明できる
  • 特定の操作を正しい手順で実行できる
  • 事例をもとに適切な判断ができる

このように、知識の獲得だけでなく、実際の行動や判断を考慮することで、コンテンツの構成や評価方法を検討しやすくなります。

3. 認知負荷を考慮して情報を整理する

人間が一度に処理できる情報には限界があります。専門的で複雑な内容を伝える場合、情報の量や提示方法を工夫する必要があります。

認知負荷の考え方を活用すると、学習者が重要な内容に集中しやすい構成を検討できます。

例えば、複雑な仕組みを説明する際には、最初からすべての詳細を提示するのではなく、全体像を示してから段階的に詳細を説明する方法があります。

図解、アニメーション、ナレーション、実例なども、内容に応じて活用できます。

ただし、視覚効果やアニメーションは、常に学習を助けるとは限りません。装飾的な要素が増えることで、かえって注意が分散する可能性もあります。

重要なのは、メディアを使うことではなく、学習者の理解を支援するデザインにすることです。

4. 情報と行動をつなげる

知識を覚えることと、実際に知識を使えることは同じではありません。

そのため、学習体験を設計する際には、学習者が学んだ内容を使って考えたり、練習したりする機会を検討します。

例えば、海外営業向けの製品研修であれば、製品の仕様を説明するだけでなく、顧客との会話を想定したシナリオを取り入れることが考えられます。

学習者が状況を判断し、適切な説明を選択するような課題を用意すれば、知識と実務の接点をつくることができます。

こうしたシナリオ型学習やケーススタディは、学習目標や対象者に応じて設計する必要があります。

Learning Experience Designの設計プロセス

LXDの具体的な進め方はプロジェクトの目的や規模によって異なりますが、基本的な流れを整理すると、次のようになります。

1. 目的と課題を分析する

最初に、なぜコンテンツや学習体験を制作するのかを明確にします。

企業研修であれば、業務上の課題や期待する行動変化を確認し、製品教育であれば、顧客や営業担当者がどのような情報を必要としているかを整理します。

この段階では、依頼者が最初に提示した「動画をつくりたい」「研修教材が必要」といった要望を、そのまま制作仕様に変換しないことが重要です。

背景にある課題を理解することで、動画、シミュレーション、インタラクティブ教材、図解、ウェブコンテンツなど、もっとも適切な手段やデジタルフォーマットを選びやすくなるからです。

2. 学習者を理解する

次に、対象者について調査します。

学習者の知識レベル、言語、文化的背景、利用するデバイス、学習に使える時間などを把握します。

海外向けのプロジェクトでは、翻訳だけでは解決できない問題にも注意が必要です。

例えば、日本国内の顧客を前提とした事例や表現が、背景知識の全く異なる海外の学習者には伝わりにくい場合があります。また、現地の業務慣行や法規制、製品の利用環境などによって、必要な説明が変わる可能性もあります。

対象地域や顧客層に応じて、情報の優先順位や説明方法を検討することが大切です。

3. 学習目標と評価方法を決める

学習後に期待する知識や行動を整理し、どのように成果を確認するかを決めます。

評価方法は、購買意欲、実践課題、アンケートへの回答、操作の実演、自己評価、業務上の成果指標など、目的に合わせて選択できます。

ただし、成果はLXD以外の他の要因にも影響されます。よって、効果を評価する際には、何を測定しているのかを明確にすることが重要です。

4. コンテンツの構成を設計する

学習目標に沿って、必要な情報を整理します。

ここでは、コンテンツの順番、章立て、説明方法、練習問題、フィードバックなどを検討します。

例えば、次のような構成が考えられます。

  1. 学習の目的を提示する
  2. 前提となる知識を確認する
  3. 新しい概念を説明する
  4. 具体例を示す
  5. 学習者が練習する
  6. フィードバックを提供する
  7. 学習内容を振り返る

すべてのプロジェクトで同じ構成を使う必要はありません。対象者と学習目標に応じて、最適な構成を検討します。

5. メディアとインタラクションを制作する

構成が決まったら、必要なメディアを精査し、制作します。

動画、アニメーション、図解、音声、インタラクティブ教材、ウェブページなど、さまざまな形式が考えられます。

重要なのは、制作技術そのものを目的にしないことです。

複雑な科学的概念を説明する場合には、3Dモデルを使った視覚化やアニメーションが理解を支援する可能性があります。実

務上の判断を練習する場合には、シナリオや分岐型のインタラクションが適している場合があります。

メディアの選択は、学習目標、内容の性質、予算、納期、利用環境などを総合的に考慮して決めます。

6. テストと改善を行う

完成したコンテンツは、公開前に確認と改善を行います。

内容の正確性、操作性、視認性、音声、字幕、翻訳、技術的な互換性などをチェックします。

可能であれば、実際の対象者に近い人に試してもらい、どこでつまずくのか、説明が理解できるか、目的の行動につながるかを確認します。

LXDは、一度制作して終了するものではありません。学習者からのフィードバックや利用データをもとに、継続的に改善することが考えられます。

LXDで活用される主なコンテンツ形式

eラーニング

eラーニングは、オンラインで学習できるコンテンツや仕組みを指します。

企業研修、製品教育、コンプライアンス研修、オンボーディングなど、さまざまな目的で利用されていますが、マーケティングの一環として消費者教育のために、エンターテイメントとしてeラーニングコンテンツを提供することも増えてきています。

LXDの観点では、オンラインでアクセスできることだけでなく、学習者が商品を理解し、行動変革へt繋げられる設計が重要です。

マイクロラーニング

マイクロラーニングは、比較的短い単位で学習内容を提供するアプローチです。

短時間で学習できる形式は、忙しい業務の合間や、特定の知識を復習する場面などで活用できる可能性があります。

ただし、すべての内容を短く分割すればよいわけではありません。複雑な概念や体系的なスキルには、まとまった説明や実践の時間が必要な場合があります。

学習目標に合わせて、短いコンテンツと長めの学習活動を組み合わせることが大切です。

シナリオ型学習

シナリオ型学習では、現実の業務や状況を想定し、学習者が判断や行動を行います。

例えば、海外の営業担当者向けの研修で、顧客の課題を読み取り、適切な製品提案を考える課題を設定することができます。

日本の知らないものの価値を知ってもらうためには、海外の人の生活の中で、どのように取り入れられるのかをより具体的にイメージしてもらうシナリオを提示する必要があります。

実際の業務で起こりうる状況を取り入れることで、学習内容と実務との関連性を明確にしやすくなります。

動画・アニメーション・インタラクティブメディア

動画やアニメーションは、動きや変化、手順、抽象的な概念を視覚的に説明する際に活用できます。

一方で、すべての学習内容に動画が必要なわけではありません。テキスト、静止画、図解、音声、インタラクションなどを比較し、目的に合った形式を選択します。

例えば、複雑な技術や科学的概念を伝える場合には、認知科学の知見を踏まえた情報設計と視覚表現を組み合わせることで、理解を支援する方法を検討できます。

海外向けマーケティングとLearning Experience Design

ここからは、海外向けマーケティングを行う企業にとって、LXDがどのような意味を持つのかに焦点を当てて考えてみましょう。

LXDは本来、学習や教育に関わる設計手法ですが、その考え方は、企業が顧客やパートナーに情報を伝える場面にも応用できます。

特に、製品やサービスが専門的で、購入前に一定の理解が必要な場合、顧客が情報をどのように受け取り、理解し、判断するかを設計することが重要になります。

海外の顧客に製品価値を伝える

海外向けマーケティングでは、製品の機能を翻訳して紹介するだけでは、十分に価値が伝わらない場合があります。

顧客が抱える課題、業界の背景、製品を利用する環境、購入の意思決定プロセスなどが異なる可能性があるためです。

例えば、日本の顧客を前提とした説明では、製品の特徴を中心に紹介していたとしても、海外の顧客は導入後の運用方法やサポート体制、他の製品との違いなどを重視するかもしれません。

そのため、海外向けコンテンツでは、対象市場の顧客がどのような情報を必要としているかを分析し、説明の順番や事例を検討することが必要です。

専門的な情報をわかりやすく伝える

BtoB企業や技術系企業では、製品やサービスに関する情報が複雑になりやすい傾向があります。

技術仕様、業務プロセス、科学的な仕組み、専門用語などを、顧客が理解しやすい形に整理する必要があります。

ここで活用できるのが、認知科学やUXデザイン、学習設計の考え方です。

例えば、自分たちが使っている専門用語を訳していきなり並べるのではなく、まず顧客が直面している課題を提示し、その後に仕組みや解決方法を説明する構成が考えられます。

図解や動画を使う場合も、見た目の印象だけではなく、情報の関係性や理解の順番を考慮して設計します。

多言語コンテンツの設計

海外向けのコンテンツ制作では、翻訳や字幕、多言語ナレーションが必要になることがあります。

しかし、多言語化は言葉を置き換えるだけの作業ではありません。

文化的な背景、表現の自然さ、専門用語の一貫性、画面内の文字量、音声と字幕のタイミングなど、さまざまな点を確認する必要があります。

例えば、日本語の文章をそのまま英語に翻訳すると、画面内に表示する文字量が増減したり、ナレーションの長さが変わったりする場合があります。

そのため、最初から多言語展開を想定して構成やデザインを設計すると、後工程での調整を減らせる可能性があります。

また、対象地域の利用環境や、国際スタンダードのアクセシビリティにも配慮し、字幕、音声、テキストなど複数の情報提示方法を検討することが重要です。

顧客のオンボーディングを支援する

製品やサービスを契約した後、顧客がスムーズに利用を開始できるかどうかは、継続利用や満足度に関わる重要な要素です。

オンボーディングコンテンツでは、初期設定、基本操作、よくある課題、利用方法などを段階的に説明することが考えられます。

LXDの考え方を取り入れることで、顧客が必要なタイミングで情報を見つけられる構成や、実際の操作を練習できる体験を設計できます。

海外顧客向けの場合は、言語だけでなく、現地の利用環境やサポート体制も考慮するとよいでしょう。

海外向けコンテンツ制作で考慮したいポイント

1. 翻訳前の情報設計

コンテンツを制作した後に翻訳するだけでなく、翻訳・ローカライズを見据えて情報設計を行います。

例えば、画面に表示するテキストを短く整理する、専門用語の用語集を用意する、図解内の文字を編集可能な形式で管理するなどの方法があります。

これにより、複数言語への展開や更新時の作業を管理しやすくなる可能性があります。

2. 文化や文脈の違い

同じ表現でも、国や地域によって受け取られ方が異なる場合があります。

特定の文化的背景を前提とした例や比喩を使用する際には、対象者にとって理解しやすいかを確認します。

海外向けマーケティングでは、単純な翻訳品質だけでなく、対象市場における文脈との適合性も検討する必要があります。

3. アクセシビリティ

学習者や顧客がさまざまな環境でコンテンツを利用できるようにすることも重要です。

字幕、適切なコントラスト、読みやすい文字サイズ、キーボード操作への配慮、音声以外での情報提供など、コンテンツの形式に応じた対応を検討します。

アクセシビリティの要件は、対象市場や利用環境、適用される規格・法令によって異なるため、プロジェクトの条件に合わせて確認することが大切です。

4. コンテンツの一貫性

海外向けに複数の動画や教材を制作する場合、用語、ビジュアル、ナレーションのトーンなどに一貫性を持たせる必要があります。

特に、製品名や専門用語の表記がコンテンツごとに異なると、理解やブランド認識に影響する可能性があります。

制作開始前に、用語集やスタイルガイドなどを整備する方法が考えられます。

Ceriseworksが考えるLearning Design

Ceriseworksでは、認知心理学、UXデザイン、教育テクノロジー、メディア制作などの知見を組み合わせ、複雑な情報を理解しやすく、行動につなげやすい形に設計することを重視しています。

こうしたアプローチは、学習目的のコンテンツだけでなく、専門的な製品、海外であまり馴染みのない商品やサービスの説明、海外の顧客・社内チーム向けの情報提供にも応用できます。

認知科学とメディア制作の組み合わせ

情報をわかりやすく伝えるには、内容の正確さだけでなく、情報の構造や提示方法を考える必要があります。

例えば、専門家が持つ知識をそのまま文章化するのではなく、対象者が理解するために必要な前提知識を整理し、適切な順番で提示することが考えられます。

映像やアニメーション、XRや3D表現、インタラクティブな要素も、学習目標やコミュニケーションの目的に応じて活用します。

重要なのは、専門知識と表現技術を別々に考えるのではなく、両者を組み合わせて、受け手の理解を支援することです。

グローバルなコミュニケーションへの応用

海外向けのコンテンツ制作では、専門的な内容を異なる言語や文化的背景を持つ人に伝える必要があります。

このような場面では、対象者の知識レベルや目的を理解し、情報を整理し、必要なメディアを選択するプロセスが役立ちます。

例えば、海外向けの製品紹介動画、社内研修、顧客向けオンボーディング、専門分野の解説コンテンツなど、プロジェクトの目的に応じて設計方法を検討できます。

ただし、海外市場の顧客理解やマーケティング戦略そのものは、学習設計だけで完結するものではありません。市場調査、ブランド戦略、営業・カスタマーサクセスなどの活動と連携して考えることが重要です。

Learning Experience Designを導入する際のよくある課題

動画を作って終わり

SNS用のリールなど、今多くの顧客にリーチしたいのであれば、縦型の短編動画を作れば良いという観念が広まっています。

動画は、情報を伝えるための有効な手段の一つです。しかし、目的が明確でないまま制作を始めると、完成した動画が誰に向けたものなのか、何を理解してほしいのかが曖昧になることがあります。

SNSのアルゴリズムに乗るフォーマットが、必ずしも人間の認知に適した形でないことを知る必要があります。

制作前に、対象者、目的、伝えるべき情報、期待する行動を整理することで、動画の構成や長さ、表現方法を検討しやすくなります。

情報を詰め込みすぎる

専門家が関わるプロジェクトでは、伝えたい情報が多くなることがあります。

しかし、すべての情報を一つのコンテンツに詰め込むと、学習者や顧客が重要なポイントを把握しにくくなる可能性があります。

目的に応じて情報を分類し、必須の内容と補足情報を分けることが考えられます。

翻訳を最後に行う

海外展開を予定しているにもかかわらず、制作の最終段階で初めて翻訳を検討すると、画面レイアウトやナレーション、字幕の調整に追加作業が発生する場合があります。

初期段階から多言語化の可能性を共有し、必要な言語、対象地域、用語、字幕、音声などの要件を整理しておくことが有用です。

効果測定の方法が決まっていない

コンテンツを公開した後、どのような成果を期待するのかが明確でないと、改善の方向性を判断しにくくなります。

学習コンテンツであれば、完了率、理解度、課題への回答、実務での活用など、目的に応じた指標を検討します。

マーケティングコンテンツの場合は、視聴や閲覧のデータだけでなく、問い合わせ、資料請求、商談化など、ビジネス上の目的との関係も整理します。

数値は単独で解釈せず、対象者、導入環境、コンテンツの目的などを踏まえて評価することが大切です。

Learning Experience Designに関するよくある質問

Learning Experience Designは、初心者でも理解できますか?

はい。LXDは、学習や教育に関わる専門的な考え方を含みますが、基本的には「学ぶ人が何を理解し、どのように行動できるようになるかを考えて設計する」という考え方です。

教材制作、研修設計だけでなく、UXデザイン、コンテンツ・マーケティングなど、さまざまなデジタルコンテンツ分野との接点があります。

LXDとUXデザインは同じですか?

同じではありませんが、ユーザー体験を最大化するという共通する考え方があります。

UXデザインは、ユーザーが製品やサービスなどを利用する際の体験を設計することに関わります。LXDは学習体験、つまり知らない情報を理解や共感、行動に変える点に重点を置きます。

インタラクティブ・コンテンツなどでは、UXデザインとLXDの考え方を組み合わせることができます。

海外向けマーケティングにもLXDは使えますか?

応用できます。

特に、製品やサービスについて顧客や販売パートナーが理解する必要がある場合、対象者の知識や目的を分析し、情報の構成や表現方法を設計する考え方が役立ちます。

ただし、マーケティングの目的や顧客の意思決定プロセスに応じて、適切な設計方法を選ぶ必要があります。

動画を制作すればLXDになりますか?

動画を制作するだけでLXDになるわけではありませんが、動画を使ったLXDを設計することはできます。

動画が学習や理解を支援する目的で設計され、対象者、学習目標、情報の構成、必要な練習やフィードバックなどが検討されているかが重要です。

どのような企業がLXDを活用できますか?

顧客教育、製品教育、顧客オンボーディング、専門知識の解説、海外向けコンテンツ制作など、企業研修、eラーニングをの枠を超えて、学習や理解を必要とするさまざまな場面で活用を検討できます。

プロジェクトの目的や対象者によって、必要な設計・制作内容は異なります。

まとめ:学習体験の設計から、伝わるコンテンツへ

Learning Experience Design(LXD)とは、学習者が知識やスキルを身につけるまでの体験全体を設計する考え方です。

教材の形式やテクノロジーだけに注目するのではなく、学習者、目的、情報の構成、実践、フィードバック、利用環境などを総合的に考慮します。

この考え方は、企業研修やeラーニングに限らず、専門的な製品・サービスの説明、顧客オンボーディング、海外向けコンテンツ制作などにも応用を検討できます。

特に海外向けマーケティングでは、言語の翻訳だけでなく、対象者の背景や知識、文化的な文脈、利用環境を踏まえて情報を設計することが重要です。

「専門的な内容を、海外の顧客やチームにわかりやすく伝えたい」
「デジタルコンテンツの理解度を高めたい」
「動画やインタラクティブメディアを活用したエンゲージメントの高いコンテンツを制作したい」

このような課題がある場合は、まず目的と対象者を整理し、どのような学習・コミュニケーション体験が必要なのかを考えてみてください。

Ceriseworksでは、認知科学、UXデザイン、教育テクノロジー、メディア制作などの知見を組み合わせ、複雑な情報を理解しやすい形に設計するお手伝いをしています。

学習体験デザインや海外向けコンテンツ制作について、自社の課題に合わせた方法を検討したい方は、お気軽にご相談ください。

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