英語のプレゼンでなぜユーモアが必要なのか?

ビジネスコミュニケーションにおいて、日本人が欧米人と違うのはどういうところか?と世界中に支社を持つ会計や税務関連のコンサル会社に勤めていたイギリス人の友人に聞いてみたところ返ってきた答えは、

ユーモア」

です。他にも色々とステレオタイプな日本人の特徴をあげてくれたのですが、欧米のビジネスコミュニケーションでは重要とされるこのスキルが日本人には欠けているというのは注目すべきことです。

ではどんな場面でユーモアが必要なのでしょう?3つの場面について一つづつ見ていきたいと思います。

  • アイスブレーカー 
  • ビジネスメール
  • プレゼン

アイスブレーカー 

彼は今まで一度も日本に行ったことはなく、特に日本が好きという訳でもなく、世界各国のクライアントや同僚と仕事をしてきたイギリス人として、客観的に日本人のクライアントの特徴を観察してのコメントでした。彼が話している日本人クライアントというのは日系の某大手銀行のロンドン駐在員さんたちです。

「彼がロンドン支店にやってきたばかりのときは、とっても真面目だったんだ。でも彼は欧米の文化やビジネスの風習に溶け込みたいと強く願っていた。それですごく努力をしていたよ。駐在期間を終えて帰る頃までには、欧米人みたいにユーモアのある会話がだいぶできるようになっていた。彼の後任できた人は、また堅苦しい典型的な日本人って感じの人物で、ユーモアのセンスは全くなくそれを変えるつもりもなかった。」

初対面の人と話をしたり、たまにしか会わないクライアントと話をしたり、久しぶりに一緒になった同僚を話をしたりするとき、欧米人は「Icebreaker」、つまり、場を和ませるものとして、「最近あった面白い話」を持ち出します。堅苦しくなりがちなビジネスの場でも、ユーモアを共有することで笑いや共感が起こり、コミュニケーションが円滑になるのです。

英語の求人広告を見ていると募集要項に、その役職に求められる様々なビジネススキルと並んで、「Sense of humour」と書かれていることがよくあります。1日の3分の1以上の時間を仕事場で過ごすのですから、楽しく気持ちよく仕事ができる相手と一緒に仕事をしたいというのもわかります。また、ユーモアはコミュニケーション能力の一つでもあるため、それを持っている人はチームメンバーや取引先の人とも円滑にコミュニケーションをとることができる人と言えるわけです。どれだけ仕事ができる人でも、真面目で寡黙で自分のことしか見えないような人でいてはいけません。

ビジネスメール

ユーモアが求められているのは、「Icebreaker」としてだけではありません。ビジネスメールでも適切なユーモアはコミュニケーションの潤滑材になります。例えば、ヨーロッパオフィスにいる取引先の相手が、初めて日本に出張に行ったあとメールをしたとき私は、
「I hope you enjoyed the trip to Japan and Sushi lived up to your expectation.」
という書き出しで本文を始めました。彼はフランス人で、日本で本場のお寿司を食べるのをとても楽しみにしていたのです。
「Thank you for your email. The trip was great and, oh my god, the Sushi was amazing!」
これが彼の返信メールの出だしでした。もちろん続くビジネスの内容も円滑に話をすることができました。食に関するテーマは、ベジタリアンの相手に神戸牛の話をするとかでなければ、比較的当たり障りがないテーマです。特にこの場合は相手がグルメなフランス人だということは以前から知っていましたから、美食の話で盛り上がれたわけです。また、美味しいものや楽しかった経験を思い浮かべてもらってから、ビジネスの話に入ると、相手はポジティブなモードで情報を処理します。そういう意味でもユーモアは重要なのです。

もう一つ最近いいなと思ったメールで使われていたユーモアは
「Keep washing your hands!」
というものです。これはもちろん、新型コロナウィルスのために、世界中でしっかりと手を洗うように奨励するメッセージが聞かれた時期に、ビジネスメールの締めに使われていたものです。世界中の人が同じように共有していること、それから相手を気遣う結びの言葉。「くれぐれもご自愛ください」と同様な意味合いですが、ちょっとお母さんに注意されているような、柔らかな笑いがそこにあります。

プレゼン

さらにユーモアはプレゼンでも大切な要素の一つだと言えます。ユーモアが散りばめられているプレゼンは話にメリハリが付き、人の注意を惹きつけます。特にプレゼンが長いときに聴き手を飽きさせないための手段でもあります。ただ、注意しなければいけないのは、聴衆が大勢となることから、ユーモアの適切性について配慮が必要だということです。食の話でも、たくさんの人の前で話す場合はビーガンの人やある動物の肉を食べない習慣の国の出身者もいる可能性があります。よって、文化的に不適切だったり人を傷つけたりする可能性がないかを考えた上で、ユーモアを使いたいですね。

先日あるリトアニア人が観光業のプレゼンをするのを見る機会があったのですが、これはもうリトアニア人の自虐ネタすぎて笑いが止まりませんでした。世界的にもリトアニアがどこにあるのか知られていない、というところから始まり、リトアニア人だと言った時のアメリカ人の反応がいつも「Amazing」だという個人的なエピソードを紹介し、最終的にVilniusというリトアニアの町の話をしているのですが、そのプロモーションのキャッチコピーが「Amazing wherever you think it is.」になったという流れ。

 ユーモアのセンスというのは、国や文化によってもかなり違っているものなので、よい塩梅を見つけるのが難しいかもしれません。でも日本人は一般的にビジネスを堅苦しい場として受け止めすぎている気がします。もう少し肩の力を抜いて、コミュニケーションを円滑にする努力をしてみてはいかがでしょうか?

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