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アクティブリスニングとは?

    アクティブリスニング

    アクティブリスニングという言葉をご存知でしょうか?アクティブリスニングは、欧米でビジネスに必要とされるもっとも重要なコミュニケーションスキルの一つとされています。

    日本語では「積極的傾聴」と呼ばれていて、積極的、能動的に人の話を聞くことを意味する言葉です。「人の話しを聞く」というのは簡単なことのようですが実は非常に奥が深く、本当に人の話を聞けている人は少ないと言われています。

    アクティブリスニングができるようになると、不思議と人から好意を抱かれるようになり、またビジネスにおけるコミュニケーションもスムーズになります。私自身も取材やインタビューで人の話を聞くときにこのスキルを使っています。

    アクティブリスニングの実践方法

    どうすればアクティブリスニングができるようになるのか、ビジネスの場でコミュニケーションをスムーズにすることができるのか、早速8つのポイントを順に見ていきましょう。

    1. 熱心に耳を傾ける

    非常に基本的なことですが、人の話を聞く時は「聞くこと」に専念しなければいけません。もし自分が話しているときに相手が携帯電話のメッセージを見ていたり、自分以外の人に気を取られてそちらを向いていたりしたら、どのように感じるでしょうか?中途半端な聞き方をしていたりすれば、話す意欲も削がれますし、いい気分にもなりません。人の話を聞くときは目を見てアイコンタクトを維持するのが基本です。軽く相槌を打ったり頷いたりしながら、相手の話に集中していることが相手にもわかるように態度で示しながら聞くようにしましょう。

    2. 忍耐強く聞き、相手の話の腰を折らない

    誰かが話しているとき、私たちは常に次に自分は何を言うべきかと考えを巡らせています。特にビジネスの商談などで、自分が得たいと思っているものが明確であるほど、その目的到達に直結する話題へと持っていかなければと躍起になり、「聞く」という行為がおろそかになってしまいます。でも交渉ごとにおいては、むしろ相手の話を聞くことによって相手が欲しがっているものや、相手のメリットとなるうる糸口を見つけ、自分に有利な形で話を進めることができるようになるのです。相手が言葉に詰まったとしても、そこで自分の意見をいうのではなく、相手に考える時間を与え、急かすことなく忍耐強く聞いてみましょう。

    3. 意味を熟考し理解する

    相手が発した言葉を聞いたあと、それに対して自分がなんというべきかと考えるのではなく、相手はどんな意図で何を伝えようとしているのか、その意味をじっくりと考えてみてください。相手が言ったことに対して自分の意見を発展させる前に、相手の言っていることの意味を熟考して受け止め、相手の考えを理解しようと勤めてみてください。「聞く」という行為は、相手の観点や論点が自分の持っていたものと違っても、それを相手の視点のままに一度受け止め吟味するということを指しています。

    4. 相手の意見の良し悪しを判断しない

    人の話を聞くというのは、相手の意見を理解する時間です。よってたとえ相手が言っていることが自分の意見と異なるとしてもすぐに反論してはいけません。最初自分とは異なる意見だと思ったとしても、もう少し説明を聞いていたら納得できる点が出てくるということもあります。まずは相手の立場を理解しようと心を開いて謙虚に耳を傾けることが必要です。早い段階で意見の良し悪しを判断されたり、反論されたりすると、相手はその時点で話を続ける気を損ねてしまいます。相手の意見を頭ごなしに批判したり反論したりしないで、普段以上に辛抱強く聞くことを心がけてみてください。

    5. ボティランゲージを観察する

    誰かが話しているときは聞こえてくる言葉だけでなく、ボディランゲージを観察することで、相手が感じていることをより深く理解することができます。例えば、目を合わせたときにしっかりと見返してくれるかどうかを確認してください。よそ見をしているようであれば、相手が退屈していたり、興味を感じていなかったりということを示します。また相手が取っている自分との距離によっても、相手がどれくらい親近感を抱いてくれているかがわかります。あるいは、相手が手になにかを持った状態で話しているかを観察することもできます。自分と相手の間に何か物が置かれた状態は、相手がバリアを作っていることを示しています。

    6. 相手の調子や感情に合わせる

    相手の感情や調子に同調するというのも有効なテクニックです。相手が笑っているなら一緒に笑い、悲しい話をしているのであれば、それに同情して自分も悲しそうな表情で聞くと相手との間にコネクションが生まれます。相手が興奮しながら話しているのであれば、それと同じくらいの興奮を持って反応し、相手が物静かな話し手なのであれば静かに頷きながら聞きましょう。相手のボディランゲージをコピーするというミラリングのテクニックもよく知られています。相手が足を組んでいるなら自分も組み、髪を触るなどといった小さな仕草を真似ると相手に親密感を抱かせることができます。

    7. リピートする、パラフレーズする、要約する

    相手の言ったことを繰り返す、パラフレーズする、要約するというのもアクティブリスニングのテクニックです。ますしっかりと聞けていないと相手の言ったことを繰り返すことはできません。相手の言ったことを自分の言葉として繰り返すことによって、相手はあなたがしっかりと聞いていたことを認識します。相手が発した通りの言葉を使わなくてもパラフレーズしたり、要約したりすることで、相手の言ったことを自分なりに理解し、理解したということを相手に伝達することできます。

    その結果、相手はあなたがしっかりと聞いていることを察し、親密感を抱くようになります。さらにこれは相手の言ったことを間違って捉えていないかの確認にもなります。特に相手の指示を受けて行動に移す必要がある場合など、ビジネスの場においては相手の意図を受け止めるための重要なプロセスになります。

    8. 質問する

    相手が話したことを受けて質問することで、話を聞くという行為をさらに深めることができます。これは相手への批判をほのめかす誘導尋問であってはならず、あくまで相手の考えをより詳しく聞こうとする意図で発せられた質問であるべきです。自分の意見や自分の持っていきたい話題へと転換するための質問ではなく、純粋に相手の意見を聞き出そうとするオープンな質問、あるいは相手がすでに述べたことに対してわからなかった点を明らかにするための質問をするようにしましょう。

    アクティブリスニングがもたらすもの

    アクティブリスニングで人に好かれる

    F1の仕事をしていたときの話です。イギリス暮らしもまだ2年目、社会人としてはやっと1年を終えようかという頃でした。先輩のイギリス人スポンサーシップエージェントと一緒に向かったある重要な打ち合わせには、全部で7人がテーブルを囲んでいました。私以外は全員イギリス人です。ネイティブの速いペースで飛び交う会話。私はそのテンポに乗りきれず発言することができず、とにかく一言も聞き漏らさないように彼らが話していることを必死に聞いていました。結局指名で意見を求められたところ以外自主的に発言することはできず、会議が終わった後もあまり貢献できなかったことに少し引け目を感じて家に帰りました。数日後、打ち合わせをした相手から連絡がありました。

    My boss really liked you!(上司があなたのこと気に入っていたわよ。)

    正直驚きましたが、F1関係者は日本に理解のある人も多いので、外国人としてはあんなもんでよかったのかなと思いました。でも相手は次のように続けました。

    The problem is your partner.(でも問題はあなたの相方の方。)
    What’s wrong with her?(彼女の何が問題なの?)
    She talked too much!(彼女喋りすぎたわね。)

    私は先輩のイギリス人が非常にプロフェッショナルに会議で発言したことを憧れの眼差しで見ていたのです。確かに先方の上司というのもよく喋る女性だったため、プラスとプラスのキャラクターがぶつかることになってしまったのでしょう。でも私はネイティブの会話のペースにタイミングを見つけられず発言できなかったことで、無意識のうちに人の話に真拳に耳を傾けるという稀な人材になっていたのです。

    アクティブリスニングができる人は少ない

    意見を求められた時にはその話しを踏まえた必要最低限のことを言い、わからないことは質問し、さらに人の話を誰よりも真剣に聞いていました。それができる人は驚くほど少ないのです。その結果無意識のうちに相手に気に入られていました。

    私たちはカリスマ的に発言する人は人から支持を得ると思いがちですが、コミュニケーションの奥義はそう単純ではありません。人は喋るといい気分になるために、うまくいったという錯覚を覚えるのですが、自分が喋っても相手はいい気分にならないため、コミュニケーションの観点から言えば自分が思うほどの効果を得られていないことがあるわけです。

    アクティブリスニングで相手から情報を引き出す

    アクティブリスニングは私が取材者として相手に喋らせるために使っているテクニックとも重なるところが多いテクニックです。「聞く」という行為は受動的なものだと思われがちです。それゆえに何も考えなくてもできていることだと多くの人が思っているのですが、実は能動的にやらなければならない行為なのです。

    アクティブリスニングのテクニックを使うと、相手は自分のこと、自分の知っていることについて多くのことを語り始めます。相手が真摯に耳を傾けていると認識すると、人は安心して話始めます。またひとは根本的に自分のことについて話すのが好きな生き物です。そこをうまく刺激してあげると、様々な情報を引き出すことができるのです。

    人の話をしっかり聞くことによって、相手の信頼を得ることができたり、相手の欲しいものを知ることができたりと、ビジネスにプラスとなる他のものをたくさん得ることができます。これまでアクティブ・リスニングをしていなかった人は是非これを機会にぜひ試してみてください。ちなみに私は彼氏と話すときにもっとアクティブ・リスニングを心がけなければと思っています。